
数ある鉄鋼製品の中でも、ステンレスは主原料であるニッケルとクロムの価格変動が激しいため、採算の確保が難しい品種と言われてきました。一方で、当社も企業として存続していくためには、継続的に安定した収益を確保する必要に迫られていました。そのためには、メーカーの自助努力を超えた原料費の変動については、お客様にも適正な範囲でご負担いただこうというのがアロイリンク方式の導入に至った考え方です。アロイリンク方式とは、原料の相場変動に伴う価格決定システムを新聞などに公表し、透明性を高めた上で、「原料が上がった時は価格も上げます。原料が下がった時は価格も下げます。」という価格決定方式です。たとえば、「ニッケルの相場がこれだけ上がったので、次の契約ではその分いくら値上げさせていただきます」と、世の中に出ている合理的な指標を元にお客様との契約価格を合意させていただくのです。この方式はステンレス業界では当社が他社にさきがけて導入したのですが、メーカーが安定した収益を継続して上げ、一定の競争力を保っていくことが、結局は日本のマーケットのためになるという当社の思いを、お客様や流通業者の皆様にご理解いただけたからこそ、マーケットで受け容れられたのだと思っています。
アロイリンク方式で、会社としての収益を確保していくことも大切ですが、メーカーである以上、お客様の要望ニーズがどこにあるのかを見極め、それに応えることが最重要であることに変わりはありません。伝統的にステンレスの主力製品であるニッケル系ステンレスは、価格は高い一方で、ステンレスの持つ特質(錆に強い・熱に強い・加工し易い・外観が美しい)の多くを兼ね備えています。しかし、お客様によってはステンレスの特質全てを必要としているとは限りません。たとえば自動車メーカーさんが排気系パイプの素材にステンレスをお使いになる場合、お客様のニーズは「熱に強い」ことで、「外観が美しい」ことは必ずしも重要とは限りません。そうであるならば、相対的に価格が安いクロム系のステンレスでお客様のニーズに合う製品をご提供するのがベストです。その意味で、当社の商品展開の幅広さが強みになります。確かに、場合によっては、標準的な規格品の大量生産に特化しているメーカーよりは価格は多少高くなるかもしれません。そのかわり、商品メニューの豊富さでは負けません。たとえばあるお客様が、価格が高くてどうしてもニッケル系を使えないとなれば、クロム系のこの品種を使ってくださいとお勧めし、全体としてお客様のニーズを満たすご提案をさせていただくというスタイルをとっています。
アロイリンク方式の導入は、全社を挙げて取り組んだプロジェクトでした。第一線でお客様との交渉にあたったのは営業スタッフですし、それに関連した事務処理を受け止めたのはアシスタント陣です。彼らが主役だったと思います。私は彼らを裏方として支援する役割を担当職務として担ったのであって、「私がやり遂げたんだ」というような過剰な意識はありません(笑)。私としては、担当する職務に足跡らしきものを残していければ会社人としては幸せだと思っています。当社は、言われたからこれをしますというよりも、「こうしたいのですが、どうしたらよいですか?」と、男女問わず主体的に仕事を取り組む一生懸命な人が多いですね。だからこそ、昨日の自分よりは明日の自分、日々成長したいと思うような熱い人と一緒に働きたいです。実際、この会社にはそのような先輩がたくさんいますので、ぜひ熱い気持ちをもった学生さんに来ていただき、世界のどこに行ってもステンレスと言えばNSSCというぐらい存在感のある会社にしていきたいですね。