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原料相場との限りない戦い

刻々と価格が変動する原料相場。ステンレスは非鉄金属をたくさん使用するだけに、その購入価格が製造コストや販売価格に大きな影響を及ぼす。工場の生産動向だけでなく世界経済にらみながら、「いかに無駄なく、いかに安く」購入できるか日々格闘している原料購買現場の取り組みを紹介しよう。

巨大マネーに翻弄される原料相場

ステンレスは、普通の鉄とは異なり、ニッケル、クロム、モリブデンなどの非鉄金属を多く使用します。ステンレスの製造に必要な原料を調達するのが私の仕事です。当然ニッケルやクロムは日本では取れませんから、ロシア、中国、天国に一番近いと言われるニューカレドニアや南アフリカまで世界中から原料を購入します。

鉄鋼原料を取り巻く環境は、ここ数年で激変しました。中でもロンドン金属取引所(LME)で価格が決まるニッケルの変動は、著しく変化しています。これまではステンレスなど実需の動向によってニッケル価格も左右されていましたが、この数年、ニッケルの価格が上がりそうなときにステンレスの需要が増え、下げ相場になったら需要が減るという、価格と需給のいわば逆転現象が起こっています。

1999年のアメリカの金融自由化により、銀行が証券業にも参入できるようになり、原料相場に莫大な資金が流れ込んできました。そのため、ニッケル、アルミ、銅などは金融商品として投機の対象となり、激しく騰落しています。最近のユーロ圏の経済問題など、遠い国の政治・経済状況が我々の生産状況にもすぐさま影響を与えるようになりました。少しでも変化を知っておくため起床してから、まずネットやテレビの経済ニュースを眺め、前日の欧米の取引結果をある程度みてから出社するようにしています。ニッケルのみならず、銅や重油などの全ての原料が金融情勢の変化によって動くため、朝のうちにある程度感覚を掴んで、その日報告すべきことや収集すべき情報のイメージをもてるよう心がけています。

急成長する中国!

今後、NSSCは腰を据えてアジアで格闘しなくてはならないと思っています。まず、世界のステンレス生産量(年間)は約3000万トンですが、このうち日本は300万トン強です。一方、中国は21世紀に入ってから驚異的なスピードで生産能力を拡大し、現在は全体の3分の1に相当する約1000万トン規模となっています。この伸びは当面継続していくと思われ、巨大な隣国の需要にいかに対応していくか、日々判断を迫られています。そんな中国に、最近出張する機会がありました。5年ぶりの中国でしたが、人々の立ち居振る舞いなどから、自信をつけてきたな、と感じました。20年以上前、まだ学生の頃ですが一度上海を旅しました。当時の空港(虹橋)はまだセメントづくりの簡素なものでした。今では巨大な最先端の空港に変貌しており、ステンレスがいたるところに使われているのも目を引きました。一方、その後に立ち寄った昆明市(雲南省)の空港設備は20年前の上海のまま。中国のステンレス国内需要が伸びる余地はまだ十分にありますし内陸部にも大きな需要を抱えていると思いました。

学生のみなさんへ!

社会人になると必要になる力は二つあると思っています。
一つ目は、継続力です。学生のみなさんは、就職したらビッグプロジェクトに携わりたいと希望されている方も多いと思います。しかし、実際に入社したら当面の間は単調な資料作成や日々膨大なデータ管理をすることが多いでしょう。しかし、無味乾燥でつまらないと感じる日々のルーティンが、いつしか足腰のバネとなり、将来ダイナミックな仕事ができるようになるのです。

もう一つ大事なのは、コミュニケーション力です。仕事は一人でやるものではありません。自らの意見を主張するだけでなく、相手の立場に立って考える柔軟性が必要です。また、今後はどんどん海外で仕事をする機会も増えるでしょう。異文化を受け入れ、時に衝突しても崩れないタフさを持って欲しいと思っています。

1トンでも多くの鋼を製造しようと取り組んでいたところにリーマンショックの衝撃があり、状況は一変しました。一時期は稼働率が50%を割り込むこともあり、悔しい日々が続きました。しかしながら、この経験によって相当な生産変動にも臨機応変に対応できるようになり、工場の製造実力は大きく更に向上したと思います。

柴田さんもそうだったと思いますが、当時は財務担当者として日々増え続ける原料在庫にドキドキしていました(笑)。計上した原料在庫は三桁億円の評価損でかなりの規模でしたので心配もしましたが、その経営判断に間違いはなかったと実感しています。NSSCの強固な財務体質があったからこそ出来たのだと思います。

リーマンショック以降は、大変な思いをしました。生産量は下方修正する一方で、原料は日々入着し原料在庫が積み上がっていくのを目の前で見ていました。しびれる経験でしたよ(笑)。但し、その時、原料購入の仕組みや事情をもっとよく理解する必要があるということを強く感じました。以降、柴田さんとは毎週毎週緊迫した打ち合わせが続きましたが、その努力が実り、今では計画・実行の精度も向上し、更なるレベルアップに取り組んでいるところです。

システム検討にあたっては、契約部門と連携し、フローの1つ1つを確認しながら根気よく検討しました。1年半も(笑)。お陰さまで、商社等とのやり取りで生じていた膨大な書類が電子化され、業務負荷だけでなく正確性も格段に向上しましたョ。

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