環境経営

ステンレス二相鋼厚板の生産強化投資等について
2008/10/02
1. ステンレス二相鋼厚板の生産能力増強投資

新日鐵住金ステンレス株式会社(東京都千代田区。社長:木下洋)は、このたび八幡製造所厚板工場における二相鋼の生産能力増強対策投資を行うことを決定いたしました。

当社厚板工場は、会社発足時に伴う鹿島精整設備の休廃止と八幡への統合(平成16年)、平成18年の一貫能力増強工事の実施を経て、当社の中核品種のひとつとして現在世界の旺盛なプラント需要等に応えてフル生産を継続しておりますが、近年、プラントの大型化や使用環境厳格化等の動向の下、ステンレス厚板にもさまざまな機能・特性が求められるようになってきております。

とりわけ二相ステンレス鋼は、その優れた耐海水性に加え、汎用的なオーステナイト鋼に比べて合金組成が廉価であることや高強度であること等から、従来の製紙・石油化学プラント用途に加え、ケミカルタンカーや海水淡水化装置を中心としたプラント用材料として急速に需要が拡大してきているほか、最近では、環境分野や建材分野においても適用が広がりつつあります。

こうした中、当社は下記内容の設備対策を実施することにより、二相鋼ステンレス厚板の製造能力を現状の約3倍規模に大幅に引き上げ、市場のニーズに応える体制を整えるとともに、個々のお客様のニーズに即したVA提案等、ソリューション営業を一層強化してまいります。

<今回投資の概要>

1. 対策内容 酸洗設備新設、レベラー(※)新設等
  ※二相鋼のほか汎用鋼種の平坦度改善等に幅広く寄与
2. 対策効果 二相鋼生産能力 現状1,000t/月から3,000t/月規模へ拡大
3. 投資額 60億円強
4. 完成時期 平成22年6月

<参考:二相鋼について>

  • オーステナイトとフェライトの混合組織からなるステンレス鋼で、欧州の製紙・石油化学分野向けを中心に開発され実用化が進められてきた。直近ではケミカルタンカー、海水淡水化プラント等向けに用途が拡大しつつある。
  • 高Cr-低Niの基本成分で、汎用的なオーステナイト鋼よりも低廉な合金成分を持つ。

    例) ASTM S32101 21Cr-1.5Ni-5Mn-0.3Mo-0.2N
      ASTM S32304 23Cr-4Ni-0.3Mo-0.15N
      ASTM S31803 22Cr-5.5Ni-3Mo-0.15N
      SUS304(参考) 18Cr-8Ni
      SUS316L(〃) 18Cr-12Ni-2Mo

  • 耐応力腐食割れ性が高く、塩素イオン環境でも適用可能(耐海水性等に優れる)
  • 高強度(耐力550Nレベル。汎用オーステナイト鋼の倍程度)で、プラント用途に適し、板厚の減肉化(軽量化)が図れる。


2. 生産管理システムの刷新

また、同厚板工場では、品質管理の強化、納期短縮、納期精度の向上および在庫圧縮等を目的に、受注・品質設計から材料管理、生産計画に基づく進度・出荷管理等の一連の業務プロセスの抜本刷新を実行中であり、平成22年度初頭の全面刷新に向けて徐々に立ち上げを行ってまいります。  

この新生産管理システムについては、現行のメインフレーム型からオープン系に移行することで今後の環境変化に対する迅速性・柔軟性を担保することとしたほか、当社としては、今回のシステム基盤の整備・充実を通じ、厚板工場における一連の総合的な設備対策効果ともあわせ、お客様に対するよりきめ細かな対応を行ってまいります。

<生産管理システム投資の概要>

1. 投資額 10億円強
2. 対象 生産計画、受注・進度管理、品質設計、出荷管理等のサブシステム
3. スケジュール 平成20年10月から平成22年4月にかけて上記対象となるサブシステム単位で段階的に立ち上げ



3.(参考)ステンレス厚板の今後の需要動向と当社の対応について

近年のステンレス厚板の所要は、世界的なエネルギー・環境関連等のプロジェクトへの旺盛な投資により、アジアを中心に着実に増加しております。

八幡製造所はこの需要の増加に対し、世界最大級のステンレス厚板に特化した専用ミルとしての生産能力と、(アジアの窓口という)北九州という立地条件を活かすことで、国内では安定供給を継続すると同時に、アジアを中心とする海外の大型物件では、その一括受注対応とタイムリーな納期対応を実現し、プロジェクトの円滑な進行に貢献しています。

また近年のプロジェクトの特徴として、原子力、ケミカルタンカー、液晶・太陽電池の製造設備等の分野では、従来にも増して設備機器が大型化する傾向にあります。このため、ステンレス厚板には供給対応能力と併せて、板厚の厚手対応や広幅対応等のサイズ対応力が求められています。

当社は、関連グループ企業との連携や、光製造所の製鋼工程におけるスラブの厚手化対策等を通じ、厚手・広幅製品用スラブの供給能力の充実(倍増)を図って参りました。これらに加え、今回設置する大型コールドレベラーによって、広幅二相鋼の平坦度の向上を実現すると共に、汎用鋼における厚手・広幅材の平坦度の更なる向上等、全ての厚板製品の品質向上を実現して参ります。

上記の生産設備対策と並行して、現在八幡製造所内の生産管理システムの刷新を進めておりますと同時に、お客様対応窓口である拠点流通各位との間において、タイムリーに納期や在庫把握が可能なシステムの確立を検討しています。これらの取組みにより、製造所からお客様までの一貫した納期管理、在庫管理を強化する事で、更なるお客様へのサービスの向上に努めて参ります。  

当社は以上の取組みを通じ、供給能力や納期対応力における優位性に加え、サイズ対応力や二相鋼を始めとする鋼種対応力を拡大し、生産流通構造の最適化を実現する事で、グローバル市場において確固たる競争力を持ったステンレス厚板メーカーとして、国内外のお客様のご要望にお応えして参りたいと考えております。

以上
本件についてのお問い合わせ先
  企画部 境または谷宛 ( 03-3276-4848, 03-3276-4853 )

ニュースリリース一覧へ